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自由掲示板

あるミレシアンの少女
マイネリーベ 09/11/23, 15:25

あるところに農家の娘がいた。

どんな世界なのか、どんな家族が居たのか、彼女は何も語らなかった。

語ることが無駄だと思っていたのではない。ただ、何も語らなかっただけだった。



「司祭様、こんにちは」

「やあ、今日も来てくれたのかね。ファーブラ」

「はい、司祭様」

色が抜けきった麦わら帽子に、エプロンローブを着た少女が穏やかな笑顔を浮かべて
コレンの前に立っていた。

「今日はジャガイモを20個お願いできるかな?」

「はい、司祭様」

少女は、冬の鋭い日差しにまぶしそうにしながら頷き、麦わら帽子をかぶりなおして去っていく。
コレンは少女が聖堂の影に隠れるまで見送ると、目をつむった。

たったったったった…

軽い足音が薄れていき、しばらくすると土を掘り返す音が微かに聞こえる。
土の音にフクロウの羽ばたきが混ざったのに気づき、空を見上げると見慣れた
封蝋がされた封筒を掴んだフクロウがゆっくりと降りてきた。

「とうとう法皇庁から書信が到着したか」

紙数枚が入っているだけ。そのはずの封筒がとても重く感じて、コレンはため息を吐いて
中の手紙を開く。

「…ふぅ」

読み進めていると風の流れが変わったのか、ふわんと湿った土の匂いがした。
随分強いその香りに顔を上げると、コレンの数歩横で、ファーブラがカゴいっぱいのジャガイモを傍らに置きながらペットの犬を
撫でていた。

「お、おお。ファーブラ済まないね、つい手紙に見入っていたようだ」

「いえ。まだ報告時間でありませんから」

「かまわないよ。どうせ今日は君以外だれもボランティアに来てくれてないようだからね、
…秘密だよ?」

「…」

いつもの報酬、ビン一杯に入った祝福ポーションを10個がバスケットの中に入っている。
そしてこっそりビンの奥に収まっているトウモロコシのパン。

言葉少ない少女は、吐息と表情だけで微笑むとカバンの中からキャンプファイアキットを取り出し、囁くように呟いた。

「じゃあ、私も秘密です」

手際よく火を付け、ペットの犬から取り出した鍋を簡易こんろに掛けて水を張った。ビンごと牛乳を水の中に浮かべて暖め始める。ついでに二つほどジャガイモを放り込む。

びゅう、と音を立てて吹き付けた寒風に、揃って身を竦めた二人は顔を見合わせて肩を
揺らして笑った。

水を入れていた空きビンに、暖めた牛乳を半分注ぎ、残ったもう半分を少女はコレンへと両手で
差し出す。

「熱いので、気を付けて下さい。あとついでにこれも」

コレンが受け取った牛乳瓶は、冬の空気に触れた指にじわじわと心地よい熱を伝えてきた。
少女は茶色い固形物を指先で二つに折って、また半分をコレンの牛乳瓶へと落とした。

「これも秘密です」

二人してビンの中身をくるくると回し、その茶色い固形物。チョコレートをじっくり溶かしていく。
そして、バスケットからパンを取り出して、また半分。

焼きたての柔らかさを保っていても、この冬の寒さに負けて冷えたパンを二人はほおばり、
ホットチョコレートで飲み下す。足下では、ペットの犬がゆでたジャガイモに
かぶりついている。

「おいしいですね、司祭様」

「おいしいですね、ファーブラ」

「ふふ」

「はは」

「はぐはぐ」

きっとまた明日も、こうやって日々が続くのだろうな。とコレンはまた一口、
ホットチョコレートをじっくりと味わう。

「ああ、司祭様たちいいんだー」

「ふふ、いいでしょう。秘密のおやつなんですよ」

「言ったら秘密じゃないですよ」

「いいえ、秘密なんです。ねえ、ファーブラ」

「そうです。秘密なんです」

通りがかりの兵士が、羨ましそうに眺めている。そんな冬の日。



農家の娘が居ました。彼女は今、このエリンの地で優しく生きている。

ゆめしずく これ、自分で考えたの!?すごくない!?
いい話だねぇ~~~ 09/11/23, 15:51
マイネリーベ 丁度今農家ルックでアルバイト無双していたので、思いついたのですよー。 09/11/23, 15:53
通りすがり 小学生のころ
図書館で読んだ小説に言い回しとかが非常に似てる気がした。 09/11/23, 16:13
マイネリーベ ちょっとそんな感じを意識してるのです。 09/11/23, 16:35
Aerocoffin 僕も似たような何かを見たことがある気がするけど、思い出せない(´・ω・)、

でもこういう「ほんわか」出来る記事は、最近の殺伐とした掲示板の良い鎮静剤になってくれると期待 09/11/24, 00:24
大覇王 で? 09/11/23, 16:19
戦闘員01 話の内容つかめないんならもっかい読み直してみたら? 09/11/23, 16:25
マイネリーベ >でっていう!でっていう!

>読み直しありがとう御座います! 09/11/23, 16:35
つるめ で、ここに書くべきものか? 09/11/23, 16:31
マイネリーベ (アルバイトの間余りにもヒマだったので)むしゃくしゃして書いた、マビノギSSならなんでもよかった。今は反省あまりしてない。 09/11/23, 16:36
クリレア おおぅ!こんな所に素敵小説が!!盲点でした。
マビに関する小説っていうと某ウィキでしか見た事無かったんですがこんな所まで!!こういう出会いは嬉しい限りです。
珍しく自由掲示板でテイクアウトさせて頂きます( ・ω・)ヘヘヘ・・・ 09/11/23, 16:34
マイネリーベ テイクアウトされた( `・ω・´)ヘヘヘ… 09/11/23, 16:37
大覇王 そう言えば昔小説ネタを自由板で書いてた鳥鯖の人は元気にしているだろうか 09/11/23, 16:41
マイネリーベ 居ましたねぇ。お名前は覚えていませんが…、お元気なのでしょうか。 09/11/23, 18:38
武田明信 (:・0・)9 ・・・オチわ?・・・ 09/11/23, 16:53
なんとな ペットの犬から取り出した鍋
( ̄ー ̄)┘ ここ 09/11/23, 17:49
マイネリーベ >日常物なので、オチは存在しないのです。たまにはこういうのもいいですよー。

>赤鍋金鍋銀鍋が詰まってます(うちの犬) 09/11/23, 18:38
なんとな というか
「ペットの犬にかつがせていた鍋」とかならいいけど「取り出した鍋」だと、犬の背中にファスナーでも付いてそう
小説的な意味でね 09/11/23, 21:00
ティアルナ なんだか心が暖かくなりました。
この素敵な小説をスクラップさせて頂きます。
ありがとうございました。 09/11/23, 17:14
マイネリーベ うわぁ、ありがとうございます。こちらこそ心がほっこりなのですよ。 09/11/23, 18:39
来栖川千歌音 「異界の夜へようこそ。私はファーブラ。導く者」 09/11/23, 17:20
火烏 お前に相応しいソイルは決まったッ!!

・・・今でも惜しい、あの打ち切りは。 09/11/23, 18:04
マイネリーベ >ありがとう!ありがとう!ありがとう!ありがとう!
 でもファーブラって童話って意味なんだ。

>おじさん扱いされてる彼が、いつも不憫で仕方なかったのですよー。 09/11/23, 18:40
流星ジョニ一 U-ω-)寒い日にこういう心温まる物語。いいですねぇ 09/11/23, 18:29
マイネリーベ ジョニ一さんもホットココアとかで身体もあったまるといいのですよ。私は緑茶ですが。(ズズー 09/11/23, 18:41
アレッツ ちょいと鎌持ってティルコ逝ってきます。( *´∀`*)ノ 09/11/23, 18:48
ヴァッゴ 最後の一行にぐ、っときた

無かったとしたら、凡作・・・だったかも?あの一行が、驚異であり、脅威でもある。 09/11/23, 20:57

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