マビノギ

ウィノア_mar

06/11/10 12:40

( 　･ω･)・・・やぁ、最近やってなかったけど流れでやってみたくなったんだ
 
　　　　　まだ開店前だから何も出せないけど、イスだけは綺麗だから座ってほしい
 
 
( 　･ω･)ｙ・・・今日は、一人の客の話をしよう
 
 
あたしが何時ものように店を開けて客をねぎらいひと時の楽しい時間を提供して今日も働いたなと営業終了の看板を出そうと外に出たときにその人に会ったんだ。
 
その人は店の前でずっと、入ろうかな、やめようかなとウロウロしていた
 
どうしてそんなに悩んでるんだい？と聞いてあげると彼はあたしを見て耳を指差し
　
『私の耳は聞こえないので、相手をしてくれる人が居るのだろうかと心配だったのです』
 
あたしは手振りで店の中に案内してあげようとしたら
 
『私は制止しているモノ以外を知覚することができないのです』
 
紙に文字を書いて『店の中にどうぞ』と差出しその手を引いてあげた
 
閉店前の店内にはあたしと彼だけで、あたしは彼の相手をするのに紙とペンと暖かめのバーボンココアを用意した、しかし
 
『私は、匂いを嗅ぐ事も、味を楽しむ事もできないのです・・・全ての感覚がないのです』
 
さて、困った、こんな客は初めてだ・・・どぅ接していいのか解らない
あたしは彼にこぅ聞いてみた・・・
　　　　
　　　　　　　　　　では、何をしに此処へ来たのです？
 
『私は、何も感じない代わりに文字から人の心を理解できるのです
　　　　　　でも相手の心を理解しても私の心は理解されないのです
　　　　　　　　　ここのマスターは相手の心を癒す人だと聴いてやってきたのです』
 
何も感じない代わりに相手の心を理解する・・・それはとても大きな代償を払いましたね・・・
相手の心を理解するより、あたしはこの味を楽しめない事の方が辛いです
相手に自分の事を理解されないより、あたしはこの匂いを楽しめない事が辛いです
 
『・・・どうやらあなたも普通の人のようだ、私の心を癒してはくれない』
 
残念そうな顔をし席を経った彼をあたしは手を引いて出口まで送ってあげた
 
『あなたは普通の人だけど・・・とても温かい手をお持ちだ・・・私は癒されなかったが
他の方達が噂するだけの人なのだと理解しました』
 
あたしにそんな力はありません
それよりも今、あたしの手が暖かいと言われたが、何も感じないあなたに何故暖かいという感触が伝わったのでしょう
文字から感じ取ったから？いいえ、暖かいという感触は読み取り理解するものではありません、言葉でも文字でもない何かがそぅ感じさせるのです
 
彼はあたしの手を離すとフラリと何処かへ消えてしまった・・・
・・・あたしは自分の手を握り締めた
　　　　　　　　　　　　　　　・・・冷たい手だな・・・
閉店の看板を掛け店を閉じる、その前にもぅ見えない彼に向かってこぅ言った
 
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　またどうぞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　勿論、聞こえるはずはなかった
 
 
 
( 　･ω･)ｙ・・・やぁ、ここまでよく寝ないで聴いてくれたね
 
　　　　　　少し早いけどこの御冷はサービスだから飲んでひゃっこいと言ってくれ
 
 
え、その人はどうしたかって？
 
今、君の隣に居るよ、客だって言ったろう。